研究拠点群形成プロジェクト深層学習の予測に基づいた新規機能性化合物創成と検証

本研究プロジェクトでは、深層学習(ディープラーニング)を用いた計算化学・有機合成化学・機能性評価の融合により、機能性分子の設計~検証までを一括して実現するイノベーションサイクル創出のための研究拠点形成を行っています。研究概要

深層学習(ディープラーニング)

 深層学習(ディープラーニング)について知るには、まず、ニューラルネットワーク(neural network)について知らなければなりません。ニューラルネットワークは、人工知能(AI: Artificial Intelligence)分野におけるアルゴリズムの1つで、「人間の脳の構造を模している」ことがその特徴です。人間の脳の神経細胞であるニューロン(neuron)の繋がりを計算回路と見立て、コンピュータ上で再現したものがニューラルネットワークです。入力データとそれに対する答えを与えながら、ニューロン間の情報伝達を調整してゆくことで、人間の脳に勝るとも劣らない複雑な情報処理や分類が可能となります。これを機械学習と呼んでいます。
 深層学習(ディープラーニング)は、複数のニューラルネットワークを階層的に組み合わせたモデルを用いて機械学習させることで、より複雑な情報の認識や分類を行うことを目的としたものです。近年では、大量の画像や物体の認識、複雑な計算処理に対する最適解の抽出なども目的で用いられるようになって来ています。ディープラーニングを実現する手法は複数ありますが、代表的なものに畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolutional neutral network)があります。CNNでは、多くの入力パラメータの中から特徴の抽出を行う畳み込み演算を行うことで、より高度な学習を可能としています。本研究プロジェクトでもCNNを利用しており、数百以上の化学構造記述子と分子機能を結びつけることで、新規機能性化合物の創成を行っています。